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2010'04.07.Wed

コルダ3SS:神南(芹沢・東金・土岐・かなで)、ファイナル期間

コルダ3の創作です。
東金の話を書くつもりが、なんか主体が芹沢くんになってしまいました。
で、数日かけて書いているうちに
(集中できる時間がなかったので、携帯でチマチマやったりというだけの話)
芹沢くんが余計に好きになってきたんですがどうしましょ!!
芹沢くん、美味しいキャラ過ぎるよねー。
なんで攻略対象キャラじゃないのかねー。
で、遥か3の銀に似てると言われたけど、どう見てもそうだわねー。
(遥か3はやってないけど)


そんな感じで書いたわけですが、いつもの通りの一発書きです。
いやまあ、多少は読み返したけれど。
誤字脱字文脈不備あったら教えてください。




ピアニシモな想い




 星奏学院の学生寮、菩提樹寮。
 3階建てのこの古い建物の1階にあるラウンジで、一組の男女が午後のティータイムを楽しんでいた。
 ひとりはやや長めの黒髪の青年で、もうひとりは明るい栗色の髪の少女。
 アンティーク調の小さな丸いテーブルに向かい合わせに掛けている。

「そうなんだ、芹沢くんも大変だね」
「ああいう人たちですから、俺も諦めてますよ」

 物静かであまり表情に悲喜を出すことの少ない彼の口元に、わずかに笑みが浮かぶ。
 夏の全国学生音楽コンクール、準決勝と言えるセミファイナル出場に合わせてここ横浜へ遠征に来てから約2週間。
 同じ寮に滞在しているうちに同学年の彼女とも打ち解けるようになっていた。
神南管弦楽部の部長副部長である東金千秋・土岐蓬生のヴァイオリンコンビ、そして共にアンサンブルに加わるピアノの芹沢睦たちに対して、熱狂的とも言えるほどの女性ファンがついている。
 しかし同じ音楽の道で競うこの星奏学院のヴァイオリニストである彼女――小日向かなでは彼女らとは立場が違う。
 別にファンである彼女達が悪いわけではないが、好奇の対象とされるのとは違い、楽器は違えども演奏家として同じ目線に立っているかなでと話すのは、芹沢にとって有意義なひとときでもあった。
 しかも彼女は自分が一目置いている東金が認めた実力を持つ人物。
 最初は「地味子」などと言って侮っていた東金だったが、ほんの10日程で才能を開花させたかなでを神南に連れて帰るとまで言っているほど。
 セミファイナルで彼女を1stヴァイオリンに据えた星奏学院に敗北したものの、数日後に控える東金のソロ部門ファイナルがあるため、横浜に滞在を続けるのは悪くは無い。
 しかし、かなでが神南に来るように口説き落とすなどと東金が言っていることから、おそらくそれ以後も滞在は続くのだろう。

(まあ、よくあることだから)
 振り回されることにもそれなりに慣れ、今はもはや不快な思いではない。



「でも、こっちにいるのが延びちゃって、大丈夫なの? 芹沢くんならレッスンとかありそうだし」
「数回はキャンセルする事になりましたよ。ただ、コンクールも終わったことですし、気分的に少し休息でもいいかと。もちろん、毎日ピアノは触りますけどね」

 ありがたいことに、星奏の校舎内にある練習室も開放してもらえ、他校生である自分たちも自由に使っていいことになっている。
 セミファイナル当日まではそれも利用させてもらったが、全国への道が潰えた今は、昼間にこの菩提樹寮ラウンジにあるピアノを使う程度で十分だった。

 目前の目標を失い立ち止まってしまうなど、自分でも驚いているが思っていた以上にショックなことであったらしい。
 そして、そろそろ部長から「いつまで呆けているつもりだ」と言われる頃合い。
 おそらく数日後のソロファイナル翌日あたりだろう。
 なんだかんだであの人も今はそちらに専念しているのだ。
 そしてそれを理由に自分が息抜き状態にあることも知っているし、知られていると思いながら息抜きをしているということまでも気づいていながら、それを言わない。
 そういう人なのだ。



「よう、芹沢。また交流会か?」
 現れたのはその東金。
 かなでとの会話の中でその名を挙げたわけではないが、噂をすれば影が差すというものだろうか。
「小日向、お前こんなところで油売ってないで、練習しろよ?」
 芹沢の返事を待たずして、かなでに言葉を投げる。
 どちらへの言葉も冗談交じりに笑みを浮かべながらではあるが、特にかなでへの言葉は以前に比べて優しくなった。
 それは彼女の実力を認めたからだろう。
 芹沢の目から見ても、東金はかなでのことを気に入っていた様子だった。
 女性としてというよりもむしろ、人間として。
 東金はああ見えて努力をする人間である。
 だからなのかもしれないが、自分と同様に努力をし、ひたむきに前に進む力強さを持つ者を好む。
 それに実力があるならなおさらのこと。
 かなでは全てそれに当てはまっていた。
 そして僭越ながらも自分も。
 特にかなでは、最初にあった頃からセミファイナルまでのほんの短い期間で、かなりの実力がついた。
 いや、実力は元々あったのだろう。
 表現力が上がり、まさに「開花」したのだ。



「部長、お茶にされますか?」
「お前らのは……アールグレイのアイスミルクか」

 元々4人がけの丸テーブルの空いた席なので、芹沢の隣でもあり、かなでの隣でもある席へと着きながら、半分近く減って大きな水滴が付くグラスの中身を言い当てる。

「いや、紅茶はいい。小日向、ひと口もらうぞ?」
 返事も待たず、彼女の前にあったグラスをひょいと手に取る。
「どうぞ。芹沢くんが淹れてくれたんで美味しいんですよ」
 ニコリと微笑みながら許可するが、彼女が口にしていたストローは刺さったまま。
「部長、ストローをお持ちします」
「いや、このままで構わん」
 そう言って同じストローでゴクリと大きくひと口飲みこんだ。
 いわゆる間接キス。
 東金に対してではなく、かなでに向けての配慮のつもりだったが間に合わなかった。
 芹沢はチラリと視線をかなでに向けるが、恥ずかしがったり慌てたりするわけでもなく、気にしていない様子。
 自分の気遣いが無用だったことに安心……、いや、なぜか不快な感情がちくりと引っかかる。



「おい芹沢。俺はシャーベットにする。冷凍庫に入れておいただろう。あれを持って来い」
「分かりました」
「オレンジシャーベットだぞ」
「分かってます」

 席を立った芹沢に、東金とかなでの会話が聞こえてくる。

「オレンジシャーベットって、私が昨日あげたのですか」
「ああそうだ。さすがに毎日は飽きてきたからな。残しておいたんだ」
「だって美味しいって言われたし……」
「お前な、限度ってもんがあるだろ。毎日持ってきてどうするんだ」
「じゃあ、受け取らなかったらいいじゃないですか」
「アホか。女が俺に物を寄越しているというのに、断れるか。現にこうして今から食うんだからいいんだよ」

 かなでは納得いかない様子で、少しふくれっ面になっている。
 そんな彼女をからかうようでいながらも、柔らかく笑みを浮かべて目を細める東金。
 オレンジシャーベットの小さなカップ1つと取り分け用のスプーン、そして3人分の取り皿と小振りのスプーンを手にラウンジに戻りながら、そんな二人の様子を見て芹沢は思った。

(東金さんは彼女のことをきっと……)

―― 女性として好きなのだろう。



「お待たせしました」
「ああ、サンキュ。ってお前、こんなに小さいシャーベットを取り分けるつもりか? しかもご丁寧に自分の分まで用意しているとは、頭が下がるぜ」
「冗談ですよ、お二人でどうぞ」

 元より自分は食べるつもりなどなかったが、かなでと楽しそうに歓談していた東金に少し嫌がらせをと思ったのも事実。
 そして、元々はかなでと話していたのは自分だったのに、と恨みがましく思う気持ちがあるのもまた事実。
 ただ、芹沢本人にとってはそんなに深く気にしているわけではない。
 ……そう、今はまだ。



 芹沢から受け取ったシャーベットのパッケージをかなでの頬にくっつけて、「ひゃっ!」と叫んで半泣きのような顔で自分の両頬をぺちぺちと押さえる、どこか子供じみた挙動をするかなでの素直な反応を楽しむ東金。
 笑いながら蓋を開け、取り分けることもせずそのままひとりでオレンジ色の果実が混じる氷菓を口へと運んでいく。
「ああ、冷たくて旨いな」
「ほーら、やっぱり美味しいんじゃないですか」
 先程「飽きた」などと言われ機嫌を損ねていたかなでが、一転して満足気な表情を浮かべる。
「お前も食うか?」
 自分が口にしたスプーンに、もうひとすくいシャーベットを乗せ、かなでの前に差し出す。
 コクリと頷いたかなではそのスプーンに手を出さず、あーんと口を開けて身を乗り出す。
 そして東金の手からシャーベットをパクリとかぶりつき、そのまま喉を潤した。
 間接キスというのは全く気にしていない様子だ。
「ふふっ、やっぱり美味しいっ!」
 東金はというと、驚いた表情のまま空になったスプーンを構えた体勢のまま固まっている。
 そんな東金に、かなでは無邪気に声を掛ける。
「あれ、どうかしました?」
「……べつに。いや、お前な、男の前でこんなのは行儀悪いぞ」
「そうですか? だって、響也にもこうやってもらったりしてますよ」
 響也とは東金がライバル視している如月律の弟で、かなでと同学年で星奏の2ndヴァイオリンを担当している男である。
 たしか、律も含めて幼なじみだという話だ。
 おそらく彼女は近くに異性の幼なじみがいたために、男性に対する距離感覚が薄いんだろうなと芹沢は思いながら、他の男の名前を引き合いに出されて明らかに機嫌を悪くした東金の様子を見やっては微笑ましく感じていた。
(さすがの東金さんも彼女の前では型なしだな)

「おい、小日向。ギブアンドテイクだ、俺にも食わせろ」
 そう言ってかなでにスプーンとシャーベットのカップを押し付ける。
「はい、いいですよ。あーん」
 またもや恥ずかしがることも無く、東金に「あーん」を要求するかなでに、顔を朱に染めながら口を開ける東金の姿に笑いを堪えることができなくなった芹沢は席を立つ。
「それでは俺はこれで失礼します」




「いやー、なんやごっついおもろいもん見せてもろたなぁ」
 ラウンジから食堂を抜け、廊下に出たところで芹沢は土岐に出くわした。
「副部長もご一緒にお茶にされますか? でしたらご用意しますが」
「いらんいらん、そんな馬に蹴られるようなことしとうないし」
「……そうですね」
「芹沢くんも災難やったねぇ」
 土岐の言わんとしていることは分かる。
"小日向ちゃんとお茶しとったのに、千秋に邪魔されて"
 きっとそういうことなのだろう。
「いえ、俺は別に……」
「ああ見えて千秋は女の子に対しては、まだお子様みたいなもんやからなぁ」
 芹沢の言葉も気にせず、土岐は続ける。
「ストローで間接キッスとか、芹沢くんに嫉妬して見せつけたろーなんて思っとったんやろうけど、小日向ちゃんのが一枚上手やったなぁ」
 そんな場面から見ていたのかと言おうかと思ったが口をつぐんだ。
「千秋の音色に違う"彩"が付くかもしれんし、この夏でどんな出来事があるか、見守っときたいなぁ」
「はあ……」
「お気に入りの女の子が、自分に気があるんちゃうかと思っとったのに、まさかのダークホースで自分の部下に掻っ攫われたりなんかしたら、また面白いことになりそうやしねぇ」
「いや、だから俺はそういうわけでは!」
 何かとんでもないシナリオに組み込まれそうなことに少し取り乱してしまう。
「興味なさげやと思っとった幼なじみの親友に取られたりとかもあるかなぁ」
 土岐が冗談で言っているのか、それとも遊びの一環として実行に移すつもりなのか、どちらともわかりかねなかった。
 しかし、後者でなければ―― かなでが土岐を選んだりしなければいいなと思った。
 そして……東金も選ばないで欲しいとも。

「夏もあとわずかしか残ってへんねんから、有意義に過ごしや」
 そう言い残して土岐は去っていった。
 彼の長い髪を縛る毛先の組紐が、心なしか跳ねているように感じた。
 まるでその楽しげな気持ちを反映しているかとでも言うように。



―― 彼女とは別に……

 そう否定する思いは、少し心にちくりと刺さった。
 まだ彼自身も意識していない、小さな想い。


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