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2010'06.18.Fri

GS姫主SSS「運命の扉」

前回の親友モード姫条のままで
誕生日を終わらせるのは忍びないと、
改めて誕生日当日にもう1本。

……結局親友モードかよ。

卒業式のお話です。







運命の扉



大阪から出てきて約3年。
過ごしてきたこの学園とも今日でお別れ。
そして、共に過ごしてきた彼女とも。

「かわいい子がいる」という噂を聞いて
放課後の教室で自己紹介をしたのはいつの季節だったか。
あれから彼女と話し、メールアドレスと携帯番号を交換し、
グループで遊びに行って、二人だけで遊びに行って。
遊びに行って、遊びに行って、繰り返し遊びに行って。
そして、好きな人がいると相談されて、
その恋を友達として応援し、
応援できなくなった自分の気持ちに気づき、
けれどそれを言い出せずに親友の顔をし続けた。

……あっと言う間の3年間だった。


卒業式の式典と最後のホームルームが終わったのは
もうずいぶん前のこと。
別れを惜しむ生徒達で騒がしかったはずの校舎も
いつの間にか静けさを取り戻しかけている。

「バイバイ」
「また集まろうね」
「いつまでも友達」
などと落書きの残る教室で、彼はひとり佇む。
階は違えど、彼女と初めて言葉を交わしたのは
同じように人のいない放課後の静かな教室だった。

『こう見えても、女やねーん!』
その言葉から3拍ほど遅れての噴き出し笑いに救われた自己紹介。

あれからいくつもの季節を経て、
彼女のいくつもの表情を知った。
笑って、怒って、拗ねて、照れて。
泣いて、落ち込んで、恋に焦がれて。

恋をした彼女を、最初は友達として応援出来ると思っていた。
だが、そんな彼女を側で見ているうちに
惹かれていた自分に気づく。
彼女の恋のベクトルは他の男に向いているというのに、
そんな彼女を、好きになった。


『王子様が迎えに来るのを、お姫様は待っているんだって』
学校の敷地内にある、もう使われていない教会。
閉ざされたかの場所にまつわる種々の噂を聞いたけれど
ロマンチックで、まるでおとぎ話の絵本にでもありそうなこの話を
「なんか聞いたことがあるような気がするんだよね」
などと、彼女は記憶に引っ掛かりがあるようだった。

不意に、そこに足を向けてみようという気になった。
なぜだか分からない。
だけど、そこに彼女がいるような気がして。
そこに彼女を迎えに行かなければならないような気がして。


もしかしたら、彼女を迎えに行く王子は、
彼女が思い続けた人で、
もうそこに行っているのかもしれない。
そうすれば、自分はとんだ道化役だ。

だけど、運命の王子に彼女の想いは届かず、
姫は待ち続けているのかもしれない。
そうすれば、慰めるのは自分の役目。
これまで彼女と共にいた、自分の役割。

それに、たとえ王子が迎えに来たとしても
彼女はこの道化師を選びとるかもしれない。


次第に早まる足取りと、鼓動。
運命の扉を、さあ、開いて――。

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