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2010'10.30.Sat

コルダ3芹沢誕生日SS『声をきかせて』

2日前の10/27が芹沢くんが誕生日だったって、
今気づいたので!!!
(というのが、夕べ10/29の話)

前に東金誕生日SS書いたときには、
「あー、今月末は芹沢くんも誕生日なんだー」
なんて覚えていたのに。不覚っ!

そんなわけで、即興書き。
芹沢→かなでですね。
うちのSSS(スーパーショートストーリー)的に
短くまとめるつもりが、だらだら書いてしまいました。


以下からどうぞ。


※一応pixiv小説にも同内容UPしました→こちら
 pixivの方が見やすいとは思います。





『声をきかせて』




『芹沢くん、今日お誕生日なんだよね。
 17歳おめでとう!』

部活中、そんなことが書かれた携帯メールが届いた。
送信者名は「小日向かなで」。
いわゆるデコメというもので、
イラストがあったり、背景や文字に色が付いていたりと
女子らしい華やかなメール。

彼女とは夏の大会以来時折やりとりはしていたが
おそらくこれが3度目くらいのメールだったか。
普段は文字のみ、ところどころに絵文字が入る程度。
それが今回はデコメ。
誕生日というイベントだからという気遣いであろう。

練習も終わった頃、お礼の言葉をと返信のキーを押すと
自動的にデコレーションメール仕様になってしまい
いくつかの操作をして通常のテキストメールへと切り替えた。
親切のつもりの機能かもしれないが、
こういったメールを作らない自分としては
余計なお世話の機能だと思いつつ、文字を打ち始める。

『ありがとうございます』

そして手が止まる。
一体この後どう続ければ良いのだろうか。

『どうして誕生日が分かったんですか?』

自分の口から伝えたことはない。
となると、部長副部長のどちらかだろうか。
いや、そもそもあの人達は自分の誕生日を知ってたか?
ああそうか、菩提樹寮にいた支倉とかいう女子生徒に
取材だとか言われて色々答えた覚えがあるので
そちらかもしれない。

どうして誕生日が分かったのか、そんなメールを送ったところで
回答はおそらくそのどちらか。
そうすればまたどう返すのが良いだろう。

ふう、と溜め息をつき、携帯電話の画面から視線を外す。
どうも自分はメールが苦手である。
事務的なことしか伝えられない。
かと言って、直接あるいは電話で話すのが得意かといえば
そういうわけでもない。
ただ―― 彼女の顔を見て話せればよかったのに、とは思う。
少し幼くも見える彼女の柔らかな笑顔を思い浮かべた、
その事自体に軽く戸惑いを覚える。

「部長たちと同じ……か」

彼女を気に入って、神戸に連れてきたかったのは
神南の3年生コンビだけではなかったらしい。
あの強引な東金が勧誘しているのだから、
もしかしたらとも思って、実は内心期待してたりもしたが
想像以上に彼女の心は堅く、揺るぐことはなかった。

再び携帯電話の画面に目を戻す。
画面の端に表示された時刻は、17:15。
音楽室の窓から見える空は、
かすかに夕焼けの赤さが残るものの、
すぐに真っ暗な秋の夜空になるだろう。

横浜は神戸よりも東にあるので
日の落ちる時刻もこちらより早い。
もう練習を終えて、寮へ向かおうとしているだろうか。
おそらく、幼なじみであり同寮所属の如月兄弟と共に帰るのだろう。
彼らが付いていれば、夜道の心配をすることもない。
そのはずなのに、心がざわつく。
近い距離にいる彼らを、羨ましくも妬ましくも思う。

「そうか、俺は彼女のことが――」

再び溜め息を落とす。
たった数週間一緒に過ごしただけで
今はこうして何百キロも離れたところにいるのに、
今になって想いに気づく。
そして溜め息のもうひとつの種として、
東金と土岐も彼女を気に入っているということ。
あのふたりを出し抜いて、
彼女との仲を深めるなんてできないだろう。
そもそも、あのふたりがいたからこそ
こうして彼女との接点が途切れることもなく
続いているというのに。

いや、今はそれでもいい。
東金たちが彼女との縁を強引に繋いでいてくれることで
自分にもこうして利があるのだから。
どうせまた、何かにつけて横浜へ行くだのなんだの
楽しそうに言い始めるだろう。
いつまでも均衡が続くとは思わないが、今はそれでいい。

携帯電話のメール作成画面を終了させる。
そしてアドレス帳メニューから、小日向かなでの名を選び
ダイヤル発信をする。
呼び出し音が続いている間に
深く息を吐き、話す言葉を整理する。
「メールありがとうございます」
「どうして知っていたのですか?」
「暗い夜道は気をつけて」
「練習は終わりましたか?」
「またあなたの演奏が聴きたいです」
「またあなたの声が聞きたいです」
「またあなたに逢いたいです」
「神南に来ませんか?」
「部長や副部長のことはどう思っていますか?」

だんだんと思考が乱れてきた頃、コール音が途切れた。
『もしもし、芹沢くん?』
「ええ、こんばんは――」

余計なことは口にしないように。
彼女に直接、言葉でお礼を言いたい、ただそれだけが目的。

『それじゃあまたね』
「ええ、そのうちまた部長たちと一緒に
 そちらへお邪魔することもあるでしょうし」
『あ、今週末にハロウィンパーティーがあるって
 東金さんに言っちゃったから、
 もしかしたら数日後に会えるかもね』
「なるほど、そういうことならありえますね」
電話口でふふっ、と笑う声が聞こえる。
『じゃあ、今度こそ、またね』
「はい。ちょっと早いですが、おやすみなさい」
『うん、おやすみ』
終話ボタンを押し、画面に表示された数字から
ほんの2分程度の通話だったことが分かる。
それでも、自分にとっては有意義な2分間だった。

帰宅するための片付けをしていると、
「おい、今週末に横浜へ行くぞ」
と、東金から指示の言葉がかけられた。
「ええ、ハロウィンの仮装の準備もしておきます」
軽く驚いた表情を見せる東金の後ろから土岐も姿を見せる。
「なんで仮装が必要やって分かったん?」
「小日向さんからハロウィンパーティーがあると伺いましたので」
今度は土岐が驚いた表情を見せ、東金は不敵な笑みを浮かべる。
「芹沢もやるじゃねーか、なあ蓬生」
「ほんまやねぇ。うかうかしてられへんわ」


おそらくこの次はクリスマス。
今度は神戸へ招くはず。
その準備も抜かりなく進めましょう。



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