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2013'01.08.Tue

GS1姫主SS「新年の願いごと」

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
年末の予告通りにGS話をちょこっと、お年賀で。
時系列的に以前に公開した

・「トライアングル~姫とふたりの王子様~
・「ジューンブライド
(いずれもpixiv該当ページへのリンク)

の続きになるお話かなと思います。
……って思ってたけど、あれれ、ジューンブライドのお話って
2012年のつもりでその続き年齢設定で書いてたけど、2011年だった!!
うん、まあ年齢は気にしないで。

Twitterで一部の方にお送りした年賀状の姫条編を
少しだけ膨らませた内容です。


では、以下から。



新年の願いごと



「まどかまどか、お参り終わったらベビーカステラ買って帰ってもいい?」
 こちらを見上げながら小首をかしげ、可愛くおねだりしてくるのは、愛しの我が嫁。
 昨年めでたく結婚式を行った、新婚夫婦なのです。
 初詣の人出で混み合う神社の境内までの道のりが遠く、通常の何倍以上にもかかるけれど、それももう慣れたこと。
 彼女と共にこの道を、1月1日のこの日に歩くのは、もう何年も続く恒例行事。
「今年はどの店にするん?」
「去年と同じところかな。ほら、あの角を過ぎてりんご飴屋さんの隣の。食べ比べてきたけど、やっぱりあそこが一番美味しい気がするし」
「そないに違うもんかなぁ? ていうか、混んでるから先に買ってったらええやん。帰りにこの人の流れぶった切って、あっち側行くん大変やで」

 とまあ、そんな調子で目的のカステラ屋の前で一旦立ち止まり、中サイズの袋を2つ購入。ひとつはこのすぐ後に行く、彼女の実家に差し入れらしい。
 もうひとつの自宅用の紙袋から1つずつつまんで口に運んでは、満足気な様子。
「ホンマ、幸せそうに食べるな」
「えへへ、だって焼きたてでほっかほかなんだもん。オマケもしてくれたし」
「あれは別にオマケちゃうで。みーんなにオマケって言うてるけど、それ含めた量が標準やねんて」
「えっ、ウソ! んー、でもオマケって言ってもらったほうが嬉しく感じるから、まぁいいのかな」
 せっかく説明してやったというのに、相変わらず人のいいことである。

 ゴールも近く、小銭入れから五円玉を2つ取り出して、一つを彼女に渡す。
 これもまた毎年のこと。
 いや、一度奮発して五百円を投じたことがあったか。
 確か高校最後の年のこと。社会人たる今と違って、親の仕送りなしで暮らす高校生にとっては賽銭箱に500円なんて大奮発だったのだ。
 そしてあの頃はまだ恋人同士という関係でもなく、かと言って友達というには親しすぎるような微妙な関係だった。
 その時の願いは合格祈願。ただし自分のではなく、目前に入試が迫っていた彼女の大学合格の祈願。
 賽銭の甲斐があってか、無事に一流大学に合格した彼女。
 そしていつもの100倍のお賽銭ではお釣りが出たのか、敢えて願わなかった恋愛成就まで神さまは聞き届けてくれました、と。

 500円でこの効果なのだから諭吉さんでお願いしたらどうだったのかな、と次の年に前年の願いの内容を彼女に打ち明けながらに冗談を言ったのも思い出した。
 起業の夢は願わなかったの? と、彼女に問われたが、それは願わず。
 夢やなくて目標やから! などと恰好をつけて答えてはみたが、実際、夢も目標も漠然としすぎて神頼みにでもすればいいところだった。
 けれど願わなかったのは、他にもっと優先したい願いがあったから。
 高校3年間、友達以上恋人未満で過ごしていたわけであるが、彼女が自分に対して恋人にしたいくらいの好意を抱いてくれているのかは自信が持てなかった。
 だからこそ、友達から脱する告白をすることができずにいたわけだし。
 彼女にとっての「運命の王子様」が他にいて、自分は単なる道化役なのかもしれない。
 高校を卒業してしまうことだし、恋愛成就を願ってこの関係からの脱却を……結局願わなかった。
 それこそ、夢じゃなくて目標で。自分でなんとかできること。
 そうして彼女の大学受験の合格を願ったのだった。
 こんなに頑張っているんだから、努力が実を結びますように、と。
 なので、神さまが叶えてくれたわけではないかもしれないけれど、あの時心の中にあったのは彼女のことだけなのだから、もしかしたらそれもついでに叶えてくれたのかもしれない、なんて。

 つい最近の事のように思い出せるが、それもかなり以前の話。
 今年誕生日が来れば互いに27歳を迎えるわけで、もう10年近く前の出来事である。
 あの頃の10年前なんて、小学校1年2年の幼少期。
 ちょうどその頃に母親を亡くしたが、子供だった自分には思い出せることは少なかった。
 ただ、妻を亡くしたというのに仕事に明け暮れ、自分とほとんど遊んでくれることもなくなっていった父親のことを嫌っていたのは覚えている。
 今となっては、仕事仕事の生活に見えたのも、寂しさに打ち沈むこともできない役職にいたせいだったと理解できるようになった。
 歳を重ねるとこういうことも見えてくるのかと、高校生とはいえまだまだ子供だった当時の父親に対する反発を苦々しく思う。

 拝殿の前にたどり着き、用意していた五円玉を賽銭箱へ。太い鈴の緒を二人で一緒に持って鳴らして、二拝二拍。
 並んで願うのは、隣に立つ妻の幸せ。
 彼女を幸せにすることを改めて誓いながら、また1年、今年も幸せでいてくれることを祈る。
 彼女が幸せでいてくれることこそが、自分の幸せでもあるのだから。
 そしてもうひとつ。
 彼女に宿ったばかりの新しい命が無事に生まれますように。

 一拝して拝殿前を辞して、再び彼女と手をつないだ。
 冷えてしまった片手は、繋いだままに自分の上着ポケットへ入れてあたためる。
「ふふ、まどかカイロはあったかいな」
「言うとくけど、手も心もあったかいで」
「わかってまーす、ダンナさま」
 心もあたたかくなって、さあ、義実家へ行きましょうか。
 まだちょっと緊張するけれど、あたたかく迎えてくれるあの家へ。
 きっと彼女の生意気な弟が、大学生になったくせに「お年玉くれ」とか言うんだろうなと思いながら、神社を後にした。



Fin
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