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2010'02.03.Wed

姫主SS:卒業後、恋人設定、節分

節分なのでということで書き始めたわけではなかったのですが
(本当はバレンタインデーネタが最初にあった)
リアルタイム姫条さんにすると、今年は年男だよなー、
年男といえば、豆まきでは年男年女が撒くといいとかなんだよなー、
と思っているうちに、節分ネタになりました。
あれれ、まあいつものことだよ。

ちなみに、鬼役でガオーとか虎さんみたいに、
ウサギちゃんの主人公さん襲っちゃうぞ☆
な、姫条さんもありえるんだろうなとか思ったんですが、自重しました。


では、以下からです。
タイトルあんまり意味なし。





『MY HOME』


 西南西を向き、黙々と巻き寿司を頬張る男女3人。
 一人はこの家を護る母であり、一人はその娘。
 残る一人はその娘の恋人である。名は姫条まどか。
「女みたいな名前やけど、実は女やねん!」などと寒い風が流れた自己紹介から二人が出会ったのは、もう9年も前のことになる。
 一番初めに食べ終わったのは、やはり唯一の男性である姫条で、その後に母娘二人がほぼ同時に完食。
「はー、旨かったですわ、ごちそーさんです!」
「まどかくんのお里に合わせて、関西風なつもりで作ったんだけどどうだったかしら?」
「ちょっと甘めの酢飯にしてくれはったんですよね?」
「そうそう、他にもね……」
「かんぴょうの味付けも薄口醤油、ですよね?」
「ピンポーン♪ わかってくれて嬉しいわぁ、さすがはまどかくんね!」
 若干どころかかなりテンションが高めのわが母と、ニコニコと目を細めて”将来のお義母さん”とのやりとりを卒なくこなすわが恋人の二人を見比べる。
 今週に入ってから出張で不在の父は、穏やかな人ではあるがあまり口数が多い方ではなく、ニコニコと微笑みながら聞き手に回ることが多い人である。
 そのため、どちらかといえば行動的でおしゃべりな母が一方的に話をまくしたてることが多く、お得意の料理を食卓で食べる際もこれが隠し味だの、あれが苦心した点だのと自分から話すくせに「もー、お父さんってば美味しいとしか言わないんだから」などと不平を口にする。そう口には出しつつも怒ったりしているようではないのは、美味しそうに食べる父を見る母の表情で分かる。
 仲の良い父母なのであった。


***


「それじゃあ、ごゆっくりどうぞ」
 ダイニングから移動した先は2階の一室。綺麗に整理された中にも、女の子らしいテイストの小物が並んでいる。
「お父さんも今日は帰ってこないんだし、泊まってっちゃってもいいわよ、ふふふっ」
「い、いや、そんなわけには!」
「もう、お母さんってば!」
 天真爛漫なのか、それを装って彼を試しているのかは、娘である自分にも少々わからないところではあるが、姫条との仲を応援してくれていることには違いないようである。
 嵐が過ぎ去ったかのように母親が1階へ降りていったあと、お盆に載せられた小鉢に入れられた山盛りの炒り豆を、お茶をすすりながら二人はいただく。
「これって歳の数だけ食べたらエエねんよな」
「うん、たしか数え年だっけ」
「てことは、25粒か。意外にぎょーさん食べなあかんねんな」
「多すぎるかと思ってたけど、そうでもないみたいだね……。うう、なんか年齢感じちゃう」
「ジブンのが1つ少ないやないか、早生まれやねんから。そないなこと言いなや」
「1つなんて変わんないよ。ていうか、わたしもまどかも学年で言えば同じだし」
 ポリポリとかじりながら、割り当て分を食していく。
「でも、ジブンはウサギ年やろ? オレ、トラ年で年男やし。せやから今日も呼ばれたんやしなー」
「家長であるお父さんがいないから、代わりにまどかにやってもらおう、しかも年男だから都合がいい、とかなんとかでね」
「しかもその発案がオヤジさんとか言うねんから、ビックリやったで。て言うか、オレが年男とか、よう知ってはったなぁ」
「まどかの年賀状だよ。自分で『今年は年男』とか書いてたじゃない」
「あー、そういやそうでした」
 剥がれた薄皮をくしゃりと指先でつぶし、彼は大げさに驚いた顔を作る。


 お茶を飲んでは豆を食べを繰り返し、ようやくふたりともが食べ終わる。
「なんか、お腹の中で膨れそうだね……」
「オレ、巻き寿司調子に乗って3本も食べ過ぎた。苦しい……」
「無理して食べなくても良かったのに」
「いやいや、ホンマに旨かったから無理なんてしてへんで」
 せやけど、と残る豆粒に視線を落としてため息まじりに言葉を漏らす。
「ガキの頃はちょっとしか食べられへん、とか言うて、歳の数以上に食べたりしててんけどなぁ」
 哀愁とも郷愁ともとれるような感情を乗せたつぶやき。
 考えすぎと彼自身には言われるかもしれないが、子供の頃に母親を亡くし、中学を卒業するやいなや家を飛び出し単身でこの街にやってきた彼が過去を語る目には、どことなくそういう思いが見え隠れしている気がする。
 父親と和解したとはいえ、今は叶わない家族が揃っていた情景を懐かしんでいるのだろうと思うと、胸が痛くなってくる。
「……またそんな顔しよる」
「えっ!?」
 思わず自分の頬と口元を両手で隠したが、その上からさらに大きな手が重ねられる。
「お前が気に病むほど、オレ、昔の思い出に縋ったりはしてへんから。それに、それを我慢したりもしてへんから。あるがまま、そういうもんやと、この歳になったらわかってきたわ」
 柔らかく微笑む切れ長の目元を間近で見て、やはりこの人が大切なんだと、改めて感じたのだった。


***


「そっ、そういえばまどか! 入社前研修っていつからだっけ!?」
 甘い雰囲気をわざと打ち消すかのように慌てて問いかける。
 母の「泊まっていけば?」の言葉を否定したこともあり、ここでそんな艷めいた流れは打ち消しておきたかったからだ。
 その意図を汲んでなのか、少し残念そうな表情を浮かべながらも彼は離れて、再び湯のみの冷め切ったお茶を口にした。
「3月最終週の月曜からやって。入社式が4月1日やから、実質数日やけどな」
 同級生としてはばたき学園を卒業して、2年の浪人期間を経て彼は二流大学に進学。その後、一流商事に入社内定が出たのは昨年の春のこと。
「先輩、いろいろご指導ご鞭撻、よろしくお願いやで~」
 そう、同じ会社に勤務することになったのである。
「でもまどか、うちの会社にいるのは5年間だけなんでしょ?」
「んんー、予定ではな。オヤジ曰く”一流さんとこで勉強させてもろて、身についてへんようやったらウチに入社なんかさせるか”やと。しかも、使いモンにならんようやったら、5年経つまでにクビにしてええって社長さんにお願いしてるとか……」
「そ、そうだったんだ……、最初から姫条グループに入れてもらえるわけでもなかったし、厳しいんだね」
「まああれで、親心っちゅーもんなんちゃうかな。最初から『姫条』に入ったら、”二浪したくせに二流大程度にしか進学できへんかったボンクラのくせに、次期社長気取りで入社してきたボンボンめ”とかいう目と、”なんとかそのボンクラにとりいって、出世コースに乗ってやる”とかいう目にばかり囲まれることになるやろし」
「お父さん、そう言ってらしたの?」
「まさか。そんなん言わへんて。せやけど、自分で力をつけて、そしてそんなハイエナみたいな人間かどうかを見極めることができるような目を身につけてこいっちゅーことやと思ってるで。ほいで、ちゃんとオヤジにオレが必要やと認めさせてやるんや」
 真剣でありつつも前向きな表情が、今まで以上に精悍に見えた。高校時代、あれほど嫌っていた父親のことを受け入れ、共に歩むことを選んでいるのである。以前は「見返してやる」という反骨心からの「認めさせる」だったものが、「力になりたい」と思うようになっている。そんな彼の成長がとても嬉しく感じる。

「じゃあ、次の年男の時には、もう同じ会社じゃなくなってる可能性が限りなーく高いんだね。ちょっと残念なような気もするなぁ。せっかく会社一緒になったのに」
「せやなぁ、一緒に過ごす時間もまた減ったりするかも……って、ちょっとジブン!」
「え、なあに?」
「次の年男っちゅーたら、36やろ? そのくらいの歳やったら」

――子供2人くらいおってもええんちゃう?

 囁かれた耳元がかっと熱を帯びたのが自分でもわかった気がした。

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